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こんな暮らし

オーストラリアと日本を行ったり来たり。生活を見直すブログ。

教員時代の思い出 豪快なアメリカン・アップルパイ

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高校の家庭科教師をしていた頃の思い出話です。

アメリカ人の先生のお菓子教室

その当時、勤務していた高校には、アメリカから来られた英語指導助手の先生がいらっしゃいました。彼女はまだ大学を出たばかりの若い女性で、大学の奨学金を返すために、この仕事に応募したと言っていました。文部省に採用される公立学校の英語指導助手はかなりのお給料をもらっていたようです。

そんな彼女は、日本語もわからず、日本に来たばかりの頃はホームシックになった様子で寂しそうな顔をしていることがよくありました。英会話を楽しみたい気持ちもあり、私はよく声をかけて、おしゃべりをしたり、食事に行ったりと仲良くしていました。

あるとき、家庭科クラブの活動で、彼女を講師に招いてアメリカのお菓子を作ってみようという話になりました。彼女に相談してみると、「お母さんから習ったアップルパイなら教えられる」とのことだったので、早速、本場のアメリカン・アップルパイを作ることにしました。

正確なレシピはない

実習のまえに、材料やレシピを教えてもらおうと、彼女に聞いてみましたが、「正確なレシピなんてないわ。いつも適当に作っているから」とのこと。この反応には、びっくりでしたが、いつも作り慣れている料理は、確かにそんなものなのかもしれません。

でも、大勢の生徒と一緒に作るためには、材料の準備も必要だし、レシピも印刷して配布したいしと思い、一度予行練習として、彼女と一緒にアップルパイを作りながら、材料や作り方を書き出しておくことにしました。

豪快で合理的なアップルパイの作り方

まずはパイ生地の作り方です。

彼女は、小麦粉の袋からカップ2、3杯の粉をどさっとボールに入れ、そこへ目分量で切り分けたバターと水を加えて、素手で豪快に混ぜてはじめます。ちょっと固いかなと感じると、水をさらに加え、また柔らかくなりすぎかなと感じると粉を加えて調整しながら、ちょうどいい硬さのパイ生地を作っていきます。大雑把なやり方に思わず笑ってしまいましたが、ここでのポイントは手の感触でパイ生地の硬さを決めることです。手早くパイ生地をまとめたら、ラップに包んで、冷蔵庫で休ませます。

その間に、リンゴの用意です。リンゴは皮をむいて、大きめに切り、砂糖とシナモンと一緒にボールに合わせておきます。ここでは、リンゴを前もって煮ておく必要はありません。生のままのリンゴを使います。

次に、パイ生地を大小2つに大きく伸ばします。大きい方をパイ型に敷いて、その上にリンゴを載せます。さらに小さい方を上にかぶせて、パイ型よりもはみ出た下のパイ生地といっしょに、リンゴを包むようにしながら、くっつけます。ここでも、型に合わせて、パイ生地を切り取ったりする必要はありません。パイ生地も無駄なく全部使うのです。

そしてオーブンに入れて、じっくりと焼きあげます。

なんだか、彼女と一緒にアップルパイを作りながら、目から鱗がボロボロと落ちてくる感じでした。お菓子作りは、とにかく分量を正確に、作業は丁寧にと思い込んでいた私には、とても新鮮な体験でした。

このアップルパイから、アメリカ人の合理的で豪快な考え方を学んだ気がします。

レシピも完成

小麦粉と砂糖は1kgの袋を、バターは1包、水は大きめの計量カップにに入れておき、彼女が使った材料はそこから差し引いて計算して、分量を割り出しました。

実習中にパイ生地の硬さに問題があっても、彼女のスタイルで、小麦粉や水で調節しながらやればいいと思うことにしました。またそれも生徒にとっても、アメリカのホームメイドスタイルを味わうのにいい経験かなと思いレシピをまとめました。

生徒も先生も楽しんだ実習

当日、生徒たちは英語の説明はあまりよくわかっていないようでしたが、彼女のデモンストレーションを見ながら、作り方はきちんと理解していました。そして、みんなで、粉だらけになりながら、おいしいアップルパイを作り上げました。

日本のケーキ屋さんで売っているようなパイ生地が何層にもなりサクサクした口当たりのアップルパイとは違い、見た目も味も素朴な出来上がりになりましたが、生徒たちにも大好評の実習となりました。

教える側だった彼女も、おいしいものを作りながら、食べながら、ぐっと生徒たちと親しくなった感じがするととても喜んでいました。英語の授業ではスムーズな会話が出てこなくて、生徒との距離もなかなか近くならないと言っていたのに、この実習を通して生徒との距離が縮まったことを実感したようです。

いつまでも印象に残っている教員生活の一コマです。

 

今日の笑顔にありがとう。